私は、小学校の公教育の現場で教員として働いてきました。学校のお仕事は大変でしたが本当に魅力的で、私は毎日子ども達から元気をもらっていました。
ただ、学校での集団活動がどうしても合わずに、しんどい思いをしている子ども達がたくさんいることも知っていた私は、いつか地域で「不登校」となった子どもたちのためにできることが何かないかと考えていました。
そして、子育てに専念することをきっかけに教員を退職したのち、スクールソーシャルワーカーとして勤務してきました。担任として子ども達の成長を見守っていた時とはまた違い、不登校の背景には、その子の特性や学校でのトラウマ体験、育ってきた環境など、様々な背景があって陥っている「状態」なのだと深く理解することができました。トライアンフの立ち上げに関わったのはちょうどその時です。トライアンフでは、まずは安心して過ごせる居場所としての機能を大切にしています。その次の段階として、ひとりひとりの心理状況や興味関心に合わせ、学校とはちがった方法で学びを深めていきます。
子どもたちの願いや想いを一番大切にしていきます。また保護者の方が孤立した子育てをしなくてよいように、親子支援、家庭支援の観点を大切にしています。
保護者の方に伝えたいのは、不登校の状態を過度に悲観して、自分自身や子どもを決して責めないでほしいということです。
2023年4月、ついに「こども基本法」が施行されました。この法律は、すべての子どもや若者が、将来にわたって幸せな生活ができる社会を実現するためにつくられました。
私たち大人は、子どもが幸せであることに細心の注意をはらうべきです。子どもに笑顔があること、心が健やかであることがもっとも大切なのです。学校に行きづらいことで、子どもたちの心や未来が暗くなることはおかしい。子どもは、どんな状況でも愛され、社会で大切に育まれるべき存在なのです。「子どもの権利」の考えは、こうしたそもそもの大切な気づきを我々大人に与えてくれ、子どもたちへのまなざしを見つめ直すきっかけになってくれます。
トライアンフは、こうした「子どもの権利」を大切にし、スタッフはもちろんのことさまざまな専門家とつながりをもち、また地域の方々にも学びの師として子ども達と触れ合っていただいています。子ども達が地域の大人に温かいまなざしで見守られ、健やかに育っていけるように私はいつも願っています。